キプロスの英基地にドローン攻撃、欧州諸国が急ぎ防衛支援 中東での紛争の拡大懸念
画像提供, Getty Images
東地中海の島国キプロスにある英空軍アクロティリ基地が先週末、ドローンによる攻撃に見舞われた。これを受け、イギリスの欧州同盟国は、軍艦や対ドローン防衛システムをキプロスに急きょ送り込んでいる。
キプロスは期せずして、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃の影響に巻き込まれている。
イギリスは、ドローン対応能力のあるヘリコプターと、45型駆逐艦ドラゴンを、キプロスに派遣すると発表した。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、仏海軍フリゲート艦ラングドックが3日夜にキプロスに到着すると、テレビ演説で明らかにした。
ギリシャはすでに、F-16戦闘機4機とフリゲート艦2隻を派遣することに合意している。フリゲート艦の1隻は、ギリシャの対ドローンシステム「ケンタウロス」を搭載した軍艦プサラだ。
ギリシャのニコス・デンディアス国防相は3日、キプロスの首都ニコシアを訪れ、「ギリシャはここにいるし、これからもここにいて、キプロス共和国の防衛をあらゆる形で支援し続ける」と約束した。
ヨーロッパの同盟諸国は、キプロスに軍事資産を投入することで、これ以上のドローン侵入と、被害者の発生を防ぎたい考えだ。イギリスと欧州連合(EU)は、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃で始まった紛争と距離を置こうとしているが、被害を受ければ、当事国になる危険性がある。
元軍事戦略家のマイキー・ケイ氏は、駆逐艦ドラゴンの派遣について、「多層的な防空システムの構築が目的だ」との見方を示した。
キプロスの英空軍アクロティリ基地は、中東における作戦の訓練基地および拠点として使用されている。
イギリスは、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃には参加しなかった。だが、中東にいるイギリス国民と同盟国の保護を目的とした、英政府が「防衛作戦」と呼ぶ活動には、イギリスの航空機が参加している。
英国防省は3日夜、英空軍のF-35戦闘機がヨルダン上空を飛行中、イランのドローンを撃墜したと発表した。
アクロティリ基地では、1日夜にドローン攻撃があった。被害はわずかで、死傷者はなかった。2日にもドローン2機が迎撃されたもようだ。
イギリスは、これらのドローンがどこから発射されたとみられるのか明らかにしていない。キプロス政府は、レバノンのイスラム教シーア派組織で、イランの支援を受けるヒズボラが発射したとみている。
この攻撃を受け、基地内のイギリス人の家族らや、基地近隣のキプロス人住民数百人が避難した。
英軍関係者や現地住民らに不安が広がるなか、キプロス政府はイギリスの対応を批判している。同政府報道官は、「キプロスにある英軍基地は、どのような状況においても人道目的以外で使用されない」ことが当初、明確にされなかったのが特に問題だとしている。
キプロスは、拡大する現在の中東紛争には全く関わっておらず、自国は標的ではないと強調している。
植民地時代の名残としての英基地
キプロスは、トルコ、シリア、レバノンの沖合に位置する。EU加盟27カ国の中で最も東にある。
キプロスにイギリスの軍事施設があるのは、植民地時代の名残だ。
キプロスが1960年に独立した際、イギリスはアクロティリ半島を含む地域に関して、主権を持ち続けた。
それらの地域は、島全体の3%に満たず、面積は約250平方キロメートル。一部は、軍事規制区域の外にのびている。
英政府は現在、海外基地の防衛態勢をめぐって疑問の声に直面している。
イヴェット・クーパー外相は下院で、イギリスがすでに、レーダー、防空、対ドローン能力を追加導入していると説明した。
イギリスの基地をめぐっては、イランのミサイル施設を「限定的」かつ「防衛的」に攻撃する目的で、アメリカが使用することを許可すると、スターマー首相が発表している。アクロティリ基地に飛来したドローンは、この発表の前に発射されたと、英当局はみている。
米軍の爆撃機は、キプロスにある基地を使っていないと、スターマー氏は下院で説明した。
アクロティリ基地では1986年、リビアを支持する武装勢力による攻撃があり、3人が負傷している。
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