カナダとインドが首脳会談、関係再構築に意欲
画像提供, Reuters
シェリルアン・モラン記者、ナディーン・ユーセフ・カナダ主任記者
カナダのマーク・カーニー首相は2日、インド・デリーを訪問し、インドのナレンドラ・モディ首相と会談した。両首脳は、10年に及ぶ原子力エネルギー協定を含む多数の合意を発表した。
両国は今回、テクノロジー、重要鉱物、宇宙、防衛、教育などの分野でも合意をまとめた。
カーニー首相はまた、数年にわたり交渉が続いてきた自由貿易協定を、2026年末までに締結することで一致したと述べた。両国は共に、アメリカの制裁的な関税の影響を減らそうとしている。
両国は現在、外交上の緊張によって悪化した関係を立て直そうとしている。
カナダでは2023年、シーク教指導者ハーディープ・シン・ニジャール氏が殺された。この時、ジャスティン・トルドー首相(当時)がインド政府が関与していると非難したことで、両国の関係は悪化。双方が互いの外交官を追放し、査証(ビザ)業務を停止したため、貿易と外交関係はほとんど停止状態に陥った。
インドは当時、トルドー氏の非難を強く否定した。カナダには、インド出身者の大きなコミュニティーがある。
しかし、昨年にカーニー氏が首相に就任して以降、両政府は慎重に関係修復に取り組んできた。カーニー政権は先に、インドは現在、カナダ国内での暴力事件や脅迫に関与していないと信じていると述べた。
ただし、カナダ国内では政権のこの見解への反論もある。与党・自由党の議員のほか、カナダ在住のシーク教徒の一部は、自分たちは今もインドの標的だと述べている。
カナダの情報機関は昨年末、ロシア、中国、イランと並び、国内で諜報活動や干渉を行っている国としてインドを挙げた。
カナダ安全情報局は2日の声明で、「カナダに対して干渉や諜報活動を行う主要な外国の主体に関する脅威評価は変わっていない」としている。
カナダのアニタ・アナンド外相も、インドがカナダでの一切の干渉を停止したとするカナダ高官の発言から距離を置いた。
アナンド氏は2日、カーニー氏とモディ氏の会談後、デリーで記者団に対し、「その高官が用いた表現を、私自身は使わない」と述べた。
一方で、カナダがインドとの関与を再開した判断を擁護し、「進展のためには、こうした外交的対話が必要だ」と述べた。
カーニー首相はインド訪問開始以来、カナダの記者団に対してまだ発言していない。首相官邸は、モディ氏との会談後に予定されていた記者会見を、過密な日程を理由に中止した。
ニジャール氏殺害をめぐって起訴された4人の裁判は、現在も続いている。
技術やエネルギー、貿易での関係強化を約束
デリーでの協議では、カーニー氏とモディ氏の双方が、両国の長年の関係や共通の目標、そして緊密な人的つながりを強調した。
モディ氏は会談後、「民生用原子力エネルギーの分野で、長期的なウラン供給に向けた画期的な協定に到達した。小型モジュール炉や先進炉についても協力していく」と述べた。
また、インドとカナダは「技術とイノベーションにおける自然なパートナー」だと表現し、人工知能(AI)、スーパーコンピューティング、半導体分野での協力を強化するほか、再生可能エネルギーに関する首脳会議を共同開催すると語った。
一方のカーニー氏は、インドの原子力エネルギー需要にカナダが貢献できる立場にあると述べ、両国が戦略的エネルギー・パートナーシップを立ち上げると付け加えた。
さらに、両国が徐々に関係を再構築していることを称賛し、「カナダ政府とインド政府の間の関与は、過去20年以上を合わせたよりも、この1年間の方が多い」と述べた。
貿易に関してモディ氏は、「2国間貿易を500億ドルにすることが目標だ。そのため、包括的経済パートナーシップを早期に最終化することを決めた」と述べた。
カーニー氏は、この「野心的な協定」について年末までに合意したいと述べた。協議は過去15年にわたり断続的に続けられてきたため、妥結すれば大きな成果になるとみられている。
専門家らは、カーニー氏が外交上の緊張を脇に置き、インドに対して融和的な姿勢を示したのは、現在の地政学的変化に基づく現実的な判断だと指摘している。
インドについても同じことが言える。インドは輸入多角化を図るため、新たな貿易相手国の開拓を目指している。また、エネルギーに関しても、ロシアへの依存を減らそうとしている。
世論調査によると、カナダ国民の多数がインドとの関係再構築を支持している。アンガス・リード社による最新調査では、回答者の半数が関係修復には「適切な時期」だと答えた。
この調査では、カナダ人の30%がインドに好意的な見方を持ち、アメリカに対して好意的な26%を上回っていた。カナダは、トランプ政権の関税措置で圧力を受け続けている。
カーニー氏は2日の早い時間に、インドのスブラマニヤム・ジャイシャンカル外相とも会談。「前向きなパートナーシップ」を構築する方針について協議した。
カーニー氏の4日間の外遊日程は、2月28日の金融都市ムンバイ訪問から始まった。ここではビジネス界の代表者や閣僚らと面会し、インドとの貿易と投資拡大を協議した。
デリー訪問の後には、オーストラリアと日本を訪問する予定。これは、カナダの貿易相手国を多様化し、新たな投資を呼び込むための戦略の一環だ。
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