ガス・石油価格が急騰、株価は急落 米・イスラエルとイランの紛争激化を懸念

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画像説明, 韓国総合株価指数(KOSPI)は3日、7%以上下落した
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オズモンド・チア・ビジネス記者、ナタリー・シャーマン・ビジネス記者

中東での紛争が激化し、長期化への懸念が高まる中、天然ガスの価格が高騰している。一方、株価指数は世界各地の市場で急落した。

イギリスのガス先物価格は3日、続伸し、3年ぶりの高水準に達した。ブレント原油価格は、アジアの午前の取引で約1.5%上昇した。この原油価格はここ2日間で急騰している。

一方、アジアの株式市場は、4日午前に3日連続で下落。不安定な取引の中、韓国総合株価指数(KOSPI)は早朝の取引で6%下落した。日経平均株価は3%超下落し、オーストラリアのASX200も1.8%下落した。

韓国や日本のように輸出に依存し、出荷が危険にさらされる地政学的な影響に弱い国々の株式に、この紛争は大きな負担となっている。

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画像説明, ニューヨーク証券取引所の職員(2日)

英株式市場では3日、上場100社の株価指数「FTSE100種」が取引終了時点で前日比2.75%下落した。また、ドイツとフランスの主要株価指数も、それぞれ3.44%と3.46%下がって取引を終えた。

アメリカでは、米主要500社の株価指数「S&P500種」が取引開始直後に急落したものの、その一部を取り戻し、最終的には0.9%の下落で終えた。

イランとアラブ首長国連邦(UAE)の間のホルムズ海峡を通過する海上輸送は、世界経済にとって極めて重要で、世界の原油と天然ガスの約2割がこの海域を通過する。しかし、ここ数日で複数の船舶が攻撃を受け、航行は停止している。

イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)の総司令官顧問を務めるエブラヒム・ジャッバリ氏は、国営テレビに対し、船舶は「この地域に来るべきではない。我々から確実に、深刻な対応を受けることになる」と警告した。

ガス価格や輸送コストが急上昇

イスラエルとアメリカがイランを連日攻撃し、イランが報復を重ねる中、投資家らは経済への影響、とりわけインフレや金利にどのような意味を持つのかを検討している。

中東地域は、世界のエネルギー供給と海上輸送で重要な役割を果たしている。そのため戦闘が続けば、4年前のロシアによるウクライナへの全面侵攻と同様の影響を及ぼし、エネルギー価格を押し上げ、世界中の企業や消費者に価格上昇をもたらすのではないかとの懸念が広がっている。

イギリスの予算責任局(OBR)は最新の財政見通しで、紛争激化が同局の予測を狂わせる可能性があるとし、「世界経済とイギリス経済に非常に重大な影響を及ぼす可能性がある」と警告した。

ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は3日、ホワイトハウスでドナルド・トランプ米大統領と会談した際、経済的損害への懸念も表明した。

メルツ氏は「だからこそ、私たちは皆、この戦争ができるだけ早く終わることを望んでいる」と述べた。

イギリスの指標ガス価格は、3日に1サーム当たり165ペンスを上回り、ウクライナでの戦争開始から1年後と同水準に達した。終値は1サーム当たり138ペンスで、依然として2日の価格より2割以上高い水準だった。

イギリスのガス価格は、アメリカとイスラエルが2月28日にイランへの一連の空爆を開始して以来、すでに2倍に跳ね上がっている。

ガス価格の急騰は、世界有数の輸出企業カタールエナジーが、自社施設への「軍事攻撃」を受けて生産を停止したことを受けて起きた。同社はその後、肥料に使われるアルミニウム、メタノール、尿素を含む他の原材料についても、生産を停止すると述べた。

ガス価格の上昇は、家庭のエネルギー料金に圧力をかける可能性があるものの、イギリスでは価格上限が維持されているため、7月までは影響が表れない。

原油については、ガスと比べて追加調達先の柔軟性が高いため、価格はそれほど急騰していないが、それでも先週より大幅に高い水準にある。

原油価格の上昇は、燃料、輸送、食品などの価格上昇を招き、経済に影響を及ぼす可能性がある。

インフレが加速すれば、今後数カ月のうちに中央銀行が利下げに踏み切る可能性は低くなるとみられる。

この紛争は、世界のエネルギー市場で価格を押し上げているだけでなく、原油輸送コストの上昇も招いている。

ロンドン証券取引所グループのデータによると、中東から中国へ原油を輸送するためのスーパータンカーの用船料は、2日に1日当たり40万ドルを超え、過去最高を記録した。これは前週のほぼ2倍の水準だ。

物流技術プラットフォーム「フレックスポート」のサンネ・マンダース代表は、BBCに対し、ホルムズ海峡は「事実上、閉鎖されている」と述べた。

マンダース氏はBBCのラジオ番組「トゥデイ」に出演し、これは一部には、海運業者がリスクを取ろうとしないためだと説明。また、「保険会社がこのリスクをもはや引き受けようとしない」ことも理由だと話した。

同氏はさらに、燃料価格の上昇を見越して、海運業者が「世界中のあらゆる輸送」で運賃の引き上げを始める可能性が高いと述べた。

イギリス最大の独立系給油所運営会社モーターフューエルグループのアラスデア・ロック会長によると、原油価格が高止まりすれば、イギリスの各家庭でも燃料価格の上昇が見込まれるという。

ロック氏は「原油価格が上昇すれば、時間の経過とともに必然的にガソリンスタンドでの価格上昇につながる」、「燃料価格がどの程度上がるかは、原油価格がどれだけの期間、どれほど高い水準を維持するかにかかっている」と話した。