米・イスラエルの空爆続く、イランの防空システムは「消滅した」とトランプ氏 死者1000人超の報告も

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画像説明, イランの首都テヘランの中心部で空爆があり、煙が立ち上った(3日)
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アメリカとイスラエルは、イランへの攻撃開始から4日目の3日も、イラン各地を爆撃した。アメリカのドナルド・トランプ大統領は、イランの防空システム、空軍、海軍、指導部は「消えた」と述べた。アメリカ拠点の人権活動家通信(HRANA)人権団は、イランで民間人が1000人以上殺されたとしている。

イスラエル軍は、イランの首都テヘランにある大統領府、秘密の核施設、革命防衛隊(IRGC)司令官を攻撃したと発表した。米軍も、イランの指揮施設、ミサイル発射施設、飛行場を破壊したとした。

イラン当局はコメントを出していない。ただ、同国では各地で爆発が報告されている。

人道支援団体のイラン赤新月社は3日、これまでに報告のあったアメリカとイスラエルによる1039件の攻撃で、少なくとも787人が殺されたと発表した。軍関係者が含まれているかは明らかにしていない。

HRANAは、イランへの攻撃が始まって以降、民間人1097人の死亡が報告されていると発表。うち181人は10歳未満の子どもだとした。民間人の負傷者は5402人で、それには子ども100人が含まれるとした。

イランは報復攻撃を続けている。イスラエルと、米軍基地がある湾岸諸国に対し、ミサイルやドローンを発射しており、各地で死傷者が出ている。

ドバイの米領事館では3日夜、隣接する駐車場にドローンが落下し火災が発生した。マルコ・ルビオ米国務長官が明らかにした。

その数時間前には、サウジアラビアの首都リヤドにある米大使館にドローン2機が衝突し「小規模な火災」が発生した。サウジアラビア国防省が発表した。

トランプ氏は3日、ホワイトハウスで、「私たちは非常に強大な打撃を与えた。向こう(イラン)が保有していたものは実質的に全て破壊された。ミサイルの数も減っている」と述べた。

また、攻撃初日にイランの指導者49人を「排除」したと改めて主張。「今日も新たな指導部を攻撃した」と述べた。詳細は明らかにしなかった。

紛争後のイランのリーダーとして誰を望むかと記者から問われると、「私たちが想定していた人の大半は死んだ」とトランプ氏は答えた。

イスラエル国防軍(IDF)は3日、テヘランへの空爆によって、イラン革命防衛隊で国外作戦を担うコッズ部隊の、レバノン軍団のダウード・アリザデ臨時司令官を殺害したと発表した。この司令官は、イランが支援するレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに働きかけ、イスラエルを攻撃させていたのだと説明した。

ヒズボラは2日にイスラエルに向けて、ロケット弾とドローンを発射した。以降、IDFはレバノンで数十回の空爆を実施している。

IDFはまた、テヘラン郊外にある秘密施設を攻撃したと発表した。この施設ではイラン国防省に関係する科学者グループが「核兵器に必要な能力の開発に当たっていた」と、IDFは主張した。

国際原子力機関(IAEA)は、イランの地下施設のナタンズ燃料濃縮施設(FEP)の入口の建物に「最近の損傷」があるのを衛星画像で確認したと発表した。「放射線に関する影響は予想されず、FEP自体に追加の影響もみられない」としている。

ナタンズの地下施設には、濃縮ウランが貯蔵されているとみられる。濃縮ウランは原子炉燃料の製造に利用されるが、核兵器の製造にも使える。昨年6月のイランとイスラエルの12日間戦争の間に、ナタンズの地下施設はアメリカに攻撃され深刻な被害を受けた

アメリカもイスラエルも、最近はナタンズを攻撃したとは言っていない。

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画像説明, イスラエル軍は、テヘランにあるイラン大統領府を夜間に攻撃したと発表した

イスラエル国防軍(IDF)はまた、2日夜から3日にかけてテヘランにあるイラン大統領府と最高安全保障委員会の建物に爆弾を投下したと発表した。

IDFは、「この施設はイランのテロリスト政権の最も中核的かつ重要な司令部として機能している。今回の攻撃により、同政権の指揮統制システムの機能継続性がさらに損なわれる」とした。

米企業ヴァンターが公開した衛星画像では、イランの主要な政治・軍事施設で甚大な被害が確認できる。被害を受けた施設には、大統領府、司法庁舎、情報省、国営放送IRIB、革命防衛隊本部などがある。

米中央軍司令部は、イランの革命防衛隊の指揮統制施設、防空能力、ミサイルおよびドローンの発射施設、軍用飛行場を破壊したと発表した。

イラン・メディアによると、殺害された最高指導者アリ・ハメネイ師の後継者を選出する、宗教指導者らの「専門家会議」の事務所も3日、中部の都市コムで爆撃された。

BBCが検証した2本の動画では、この事務所が入る建物がほぼ完全に破壊され、近くの建物にも深刻な損傷が見られる。

イラン国営放送IRIBは、建物にいた人々は事前に避難し、死傷者はなかったと伝えた。

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イラン南部ミナブでは3日、アメリカとイスラエルによる女子校への爆撃で殺されたとイラン当局が主張する、165人以上の生徒や教職員らの葬儀が執り行われた。通りは参列者らで埋め尽くされた。

イランの反撃

イラン革命防衛隊の広報担当は3日、国営テレビで、「地獄の門はますます開かれることになる」と述べ、イランによる攻撃が激化すると警告した。

イスラエル軍は、同国に向けて発射されたミサイルとドローンは大半を迎撃したとしている。だが一部のミサイルは着弾しており、これまでに10人が殺害されている。

クウェートでは、イランの攻撃によりこれまでに米兵6人が死亡している。クウェート兵2人と他の1人も死亡している。

アラブ首長国連邦では、新たに3人が殺害された。バーレーンでも1人が死亡している。オマーン沖ではタンカーに乗っていた1人が殺された。

カタール外務省の報道官は、イランによる自国への攻撃を非難し、「必ず報復する」と記者団に話した。

イランは、ホルムズ海峡の封鎖を宣言している。同海峡は、世界の石油・ガスの約2割が通過するエネルギー輸送の要衝。イラン革命防衛隊の幹部は「海峡を通過しようとする船舶はすべて焼き払う」と警告している。

こうしたなか、イギリスのキア・スターマー首相は3日、防空駆逐艦ドラゴンを地中海のキプロスに派遣すると発表した。キプロスでは、英空軍アクロティリ基地の滑走路がイランのドローン攻撃を受けている。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、キプロス防衛を支援するため、仏軍のシャルル・ド・ゴール空母打撃群に東地中海への展開を命じたと明らかにした。

カナダのマーク・カーニー首相は3日夜、アメリカのイランにおける軍事行動への支持を改めて表明。同時に、「アメリカとイスラエルを含むすべての当事者に、国際的な交戦規程を尊重するよう」強く求めた。