米俳優スペイシー氏に無罪評決 男性4人への性的暴行疑惑で英裁判所

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画像説明, 無罪評決を受け、サザーク刑事法院の外で取材に応じるスペイシー氏(26日、英ロンドン)

英ロンドンのサザーク刑事法院は26日、性的暴行の罪に問われていた米俳優ケヴィン・スペイシー氏(64)に対し、無罪評決を言い渡した。

スペイシー氏は2001年から2013年の間に4人の男性に性的暴行をしたなどとして計9件の罪で訴追されていた。

12時間以上の審議の末、サザーク刑事法院の陪審団は、性的暴行の罪7件、同意なしに性的行為に及んだ罪1件、同意なしに挿入を含む性行為に及んだ罪1件の計9件の罪状について、無罪評決を言い渡した。

評決が読み上げられると、スペイシー氏は胸に手を当て、陪審員の方を見ながら「ありがとう」と2回口にし、退廷した。

サザーク刑事法院の外で記者団の取材に応じた同氏は、「私には理解すべきことがたくさんある」と述べた。

「陪審団がすべての証拠とすべての事実について、時間をかけて慎重に検討し、判断してくれたことに大変感謝している」

「今日の結果には身が引き締まる思いだ。また、この裁判所内のスタッフや警備員、そして毎日私たちの世話をしてくれたすべての人に感謝したい」

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陪審団は、スペイシー氏が男性3人の股間を「強引に」つかみ、就寝中だった別の男性1人に性行為をしたとする検察側の主張を退けた。

検察側は、スペイシー氏が男性4人に「劣っていて、惨めで、価値がない」という感情を抱かせたと主張した。

この日に64歳の誕生日を迎えたスペイシー氏はすべての罪状を否認。自分に対するこうした主張は「もろく」、「狂気」に満ちたもので、「後ろから刺されるようなもの」だと述べた。

被害を訴えた男性らは、スペイシー氏の弁護人パトリック・ギブス勅選弁護士から、金銭的な利益やキャリアアップを図るための主張ではないか、あるいは陪審員に虚偽の証言をしたのではないかと問われると、全員そうした事実はないと否定した。

法律上、すべての告訴人には生涯、名前を知られない権利がある。

イギリス検察庁(CPS)は、陪審団の決定を尊重すると述べた。

同庁の報道官は声明で、「人が刑事犯罪で有罪かどうかを決定するのではなく、訴追が適切かどうかについて、公正かつ独立した客観的な評価をすることが、CPSの役割だ」とした。

4週間近く続いた公判で、陪審員たちはスペイシー氏自身を含む複数の証人から話を聞いた。

サー・エルトン・ジョンや、その夫のデイヴィッド・ファーニッシュ氏さんも、弁護側の証人としてモナコからビデオリンクで証言した。

2017年にキャリアがストップ

ハリウッドのスター俳優であるスペイシー氏は、1995年公開の映画「ユージュアル・サスペクツ」で米アカデミー賞(オスカー)助演男優賞を、2000年には映画「アメリカン・ビューティー」(1999年公開)で同賞主演男優賞を受賞した。

2004年から2015年にかけては、ロンドンのオールド・ヴィック劇場で芸術監督を務めた。

しかし、同氏のキャリアは2017年にストップした。当時14歳の子役に性的な関係を持ちかけたと名指しで非難され、謝罪するとともに、自身がゲイであることを明かした。これに対し、自分の性的指向を盾にして、疑惑による悪評をかわそうとしているなどの非難があがった。

この時、スペイシー氏は米動画配信サービス「ネットフリックス」の人気ドラマシリーズ「ハウス・オブ・カード」の主演を務めていたが、シーズン6の制作が中断された。同氏はその後降板した。

2022年5月、3人の男性に対する性的暴行の罪で、同年11月には4人目の男性に対する同様の罪で訴追された。