米韓首脳、対北朝鮮で拡大抑止強化で合意 潜水艦派遣や核協議グループ新設など

ジーン・マケンジー(ソウル)、マデリン・ハルパート(ニューヨーク)、BBCニュース

South Korean President Yoon Suk Yeol is in Washington to meet with US President Joe Biden

画像提供, Getty Images

画像説明, 共同記者会見に臨んだ韓国の尹錫烈大統領(左)とアメリカのジョー・バイデン大統領

アメリカのジョー・バイデン大統領と韓国の尹錫烈(ユン・ソンニョル)大統領は26日、米ワシントンで会談し、米核武装潜水艦の韓国への定期派遣を含む画期的な合意を結んだ。

米政府は、同国の北朝鮮に対する核兵器使用の計画に、韓国が関与することを認めた。

韓国はその見返りとして、自国の核兵器を開発しないことに合意した。

バイデン氏は、「ワシントン宣言」と呼ばれる今回の合意が、北朝鮮の攻撃を抑止するための同盟国間の協力を強化するだろうと述べた。

尹氏は、ウクライナ戦争や気候変動、サイバー協力、核問題などを話し合うため、国賓としてワシントンを訪問している。

「ワシントン宣言」

会談後の共同記者会見で、尹氏は今回の訪問の目玉である「ワシントン宣言」について説明。核兵器を含む軍事力を用いた攻撃を抑止し、アメリカの同盟国を守るというアメリカの取り組みである拡大抑止を強化する「前例のない」一歩だと述べた。

北朝鮮が今年に入って過去最多の弾道ミサイル発射実験を行い、核の脅威に対する懸念が高まる中、今回の宣言が出された。

「朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)のエスカレートした行動に対応するための、抑止力の強化だ」とバイデン氏は述べた。

複数の政府高官は今週、記者団に対し、新たな合意は数カ月にわたって行われた交渉の結果だとしていた。

今回の合意のもと、アメリカは「1980年代初頭以来行われていない、弾道ミサイルを搭載可能な米原子力潜水艦の韓国派遣を含む、戦略資産の定期的な配備を通じて、抑止力をより可視化する」措置を講じることを目指すと、複数当局者は今週、記者団に述べていた。

米韓はまた、核・戦略計画をめぐる問題を議論するための、核協議グループを発足させるという。

米核兵器運用への関与

韓国の政治家たちは、北朝鮮に対して核兵器をいつ、どのように使用するのかというアメリカの計画について、韓国のさらなる関与を認めるよう、長らく米政府に要求してきた。

北朝鮮の核兵器の大型化・高度化が進むにつれ、韓国の人々はバイデン氏が何をきっかけに、自分たちに代わって核のボタンを押すことになるのか見当もつかない状況に、警戒心を強めてきた。米政府が韓国政府を見捨てるかもしれないとの不安から、韓国は独自の核兵器を開発すべきだとの声も上がっている。

しかし1月、尹氏は韓国大統領として数十年ぶりに、アメリカの核兵器運用への韓国側の関与強化を交渉のテーブルに上げ、ワシントンの政治家たちを驚かせた。

安心させるような言葉やジェスチャーではもはや通用しないことを、アメリカは突如つきつけられた。韓国に、独自の核兵器製造を思いとどまらせるには、何か具体的なものを提示しなければならないことが、はっきり示されたのだった。

さらに尹氏は、「具体的な」進展を遂げて帰国することを期待していると、明言した。

核協議グループの発足は、韓国政府が求めていた韓国の関与強化は達成することになるが、国民の不安を払拭できるかについては大きな疑問が残る。

北朝鮮が攻撃してきた際に、韓国を守るために核兵器を使用するという、アメリカの完全なコミットメントを約束するものでもない。

しかしバイデン氏は26日、「アメリカやその同盟国やパートナーに対する北朝鮮の核攻撃は容認できず、そのような行動を取る政権は終わりを迎えるだろう」と述べた。

核武装した潜水艦が40年ぶりに韓国に派遣される計画により、アメリカのコミットメントの重要性は増している。

この見返りに、アメリカは韓国が非核保有国であり続けること、そして核兵器不拡散の忠実な擁護者であり続けることを求めてきた。アメリカは韓国の核武装を阻止することが不可欠だと考えている。そして、それに失敗すれば、他国も韓国に追随するかもしれないと恐れている。

しかしこのコミットメントが、韓国の学者や科学者、与党議員など、韓国政府による核武装を声高に推進する有力グループにどのように受け止められるのかは不透明だ。