仏アカデミー賞、性暴行のポランスキー氏に最優秀監督賞 女優ら抗議の退出

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フランス映画芸術技術アカデミーが主催する「セザール賞」の授賞式が2月28日にあり、児童性的虐待で有罪となったロマン・ポランスキー監督が最優秀監督賞を受賞した。発表の直後、数人の女優が抗議のために会場から退席した。
フランスのアカデミー賞とも言われる同賞では今年、ポランスキー監督の「ジャキューズ(私は弾劾する)」が12部門にノミネートされ、大きな反発を招いていた。
ポランスキー氏は、1970年代に当時13歳だった女性を強姦。この罪を認め、一時はアメリカで服役していたが、仮釈放中に国外へ逃亡し、米当局が身柄引き渡しを求めている。
同氏はそれ以後も、複数の性暴力疑惑で糾弾されている。
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19世紀フランスで起きたスパイ事件「ドレフュス事件」を題材にした「ジャキューズ」は、今年のセザール賞で3冠を達成した。
ポランスキー監督やスタッフは安全上の理由から、会場には姿を見せなかった。
最終優秀作品賞は、パリ郊外での貧困を取り上げたラジ・リ監督の「レ・ミゼラブル」が受賞した。
「うんざりだ」
女優のアデル・エネルさんは、ポランスキー監督の受賞が発表されると席を立って退場。
会場を出る際には「残念だ」と言い残した。エネルさんの後には、セリーヌ・シアマ監督などが続いた。

授賞式の司会を務めた女優・コメディアンのフロランス・フォレスティさんも、ポランスキー氏の受賞が発表された後はステージに戻らなかった。
フォレスティさんはその後、自身のインスタグラムに真っ黒の画像と「うんざりだ」というコメントを投稿した。
授賞式の数時間前にはフランク・リーステール文化相が、「性差別や性暴力に反対の立場を取るべき時」にポランスキー監督が最優秀監督賞を取るのは「象徴的なほどに悪いこと」だと語っていた。
授賞式当日は、会場の外に抗議者が集まった。
「中傷には慣れた」
ポランスキー氏は1977年、当時13歳だったサマンサ・ゲイマーさんを強姦した。ポランスキー氏はこの事実を認め、禁錮刑に42日間服したものの、司法取引の破綻を恐れ、仮釈放中にアメリカから逃亡した。
ポランスキー氏はフランスとポーランドの市民権を持っており、米当局の身柄引き渡しを何度も回避している。

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ポランスキー氏のノミネートが発表されて以降、フェミニスト団体などが怒りの声を上げ、ボイコットを呼びかけていた。また、俳優やプロデューサー、監督らも公開書簡でアカデミーの経営を批判した。
仏アカデミーはこうした反発を受けて審査員全員の辞任を発表。授賞式後に新たな審査委員を選出して改革や現代化に臨むとしている。
フランスのマルレーネ・シアッパ平等担当相も、ポランスキー氏のノミネートを非難し、「数回にわたって強姦の罪に問われた人物の映画に、会場中が立ち上がって拍手を送るなど考えられない」と語っていた。
一方で仏アカデミーはポランスキー監督のノミネーションを擁護。賞の授与では「倫理的な立場を取るべきではない」としている
ポランスキー氏は昨年12月に応じたインタビューで、自身の映画に対するボイコット運動から距離を置こうとしていると語っている。
「ここ数年、人々は私をモンスターに仕立て上げようとしてきた。中傷には慣れたし、今は殻のように硬い精神を持つようになった」
「ジャキューズ」の興行成績は好調
「ジャキューズ」は昨年9月に、ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)を受賞した。
しかしその2カ月後には、フランスの元女優ヴァランティン・モニエールさんが、18歳だった1975年にポランスキー監督から「非常に激しい」暴力と強姦を受けたと告白した。
モニエールさんは、「ジャキューズ」が公開されたことで被害を明らかにすることを決めたと語った。
こうした非難にもかかわらず、「ジャキューズ」は2019年末にはフランスで大ヒットをおさめ、欧州の数カ国でも優秀な興行成績を残した。
セザール賞の仕組み
4680人の映画専門家からなる仏アカデミーは、会員の大多数を年配の男性が占めていることや、時代と合っていないことなどが批判の的になっている。
女性が会員に占める割合はわずか35%。会員になるには過去5年に3作品の映画に関わっていることに加え、2人の推薦者が必要となる。
年会費を払った会員(今年は4313人)は、インターネット上でセザール賞の各カテゴリーについてノミネートと、その後は受賞者について秘密投票する権利が与えられる。
また、アカデミーを統括する内部組織は47人からなるが、米アカデミー賞や英アカデミー賞とは違い、仏アカデミーの会員はこのメンバーを選出することはできない。









